俳句の世界では、メジロは夏か秋の季語ですが、世間では春を告げる鳥として親しまれていますね。
しかし、「梅に鶯(ウグイス)」ということわざと花札があるように、梅と言ったらウグイスというイメージがあります。
これは一体どういうことでしょう?
初春の梅に飛来して春を告げるメジロ
梅が咲く時期になると、メジロがその木にとまって花の蜜を食べる姿を見ることができます。
そのことから、春を告げる鳥の一つにメジロが入っています。
また、ウグイスもそこに入っています。
ごっちゃになってしまっているのは、メジロとウグイスの食性と警戒心の差にあるようです。
梅とウグイスじゃないの?
まず、「梅に鶯 花札」で画像検索をしてみましょう。
梅の花が咲く枝にとまっている小鳥の画像が出てくるはずです。
ここで、メジロとウグイスの色を説明しましょう。
メジロは頭部から背中と翼、尾羽にかけて黄緑色で、クチバシから下の喉元はより黄色が強い黄緑色、腹は茶色がかった薄灰色です。
ウグイスも、腹はメジロと近い色ですが、他の部分の色は緑がかった薄茶色です。
続いて花札の小鳥の色ですが、頭部から背中と翼、尾羽にかけて黄緑色で、他の部分は黄色…いかがでしょう?メジロの方が近いと思いませんか?
このような混同は、特徴的な声は聞こえるけれども姿が見えないウグイスと、ウグイスよりは目立った声ではないけれども特徴的な色で姿をよく見せるメジロ、このお互いの特徴が融合された結果だと言われています。
「鶯色」や「うぐいす餅」も、どちらかと言えば「メジロ色」ですが、一説には同じような理由や時代の流れで、そう名付けられたと言われています。
梅の季節のメジロの姿
言葉やイメージの変化はありますが、梅の木にとまっている、スズメよりも小さい鶯色の小鳥はメジロです。
目の周りが白く縁取られていたら、もう間違いありません。
木から木へ、花から花へと飛びまわっている姿は風物詩と言えるでしょう。
そんな時に「ホーホケキョ」と聞こえてきたら、近くにウグイスもいるんだなと、耳でも春の小鳥を楽しむことができます。
メジロは比較的に警戒心が低く、梅の花の蜜を好み、枝にとまって花をつついている姿が見られますが、ウグイスは警戒心が強く、どちらかと言うと、木の葉や藪の中に隠れて虫を食べるのを好むのです。
まとめ
冒頭で述べた季語に関してですが、一応定められてはいるものの、年中見ることができるためか、少々曖昧になっているようですね。
今では春の季節のイメージが強いのではないのでしょうか?
庭に梅の木があり、メジロが花咲く木の中でぴょんぴょこしている姿が見られたら、俳人とまではいかなくても、何かしら一句浮かんできそうですね。